図解|ベアリング異常を低コストで検知する包絡線処理とアンダーサンプリング

図解|ベアリング異常を低コストで検知する包絡線処理とアンダーサンプリング

従来技術と特許技術の比較|図解でわかる軸受診断の基礎

ベアリングの異常検知に「高価なセンサー」は本当に必要か?

【結論】異常が発生している「周期」さえ特定できれば、高価な高周波センサーは不要です。
この記事では、ベアリング診断の基本である「包絡線処理(エンベロープFFT)」の仕組みと、データをあえて間引くことで圧倒的な低コスト化を実現する特許技術「アンダーサンプリング」の違いを、専門知識がなくても直感的にわかる図解で解説します。

ベアリング(軸受)の予知保全において、振動波形から「異常のサイン」を正確に読み解くことは非常に重要です。まずは、損傷が発生した際にベアリング内部で何が起きているのかを見ていきましょう。


軸受の損傷と高周波の衝撃振動の関係

軸受のボールが損傷部を通過するイメージ

軸受のボールが損傷部を通過するイメージ

 

軸受(ベアリング)にキズや凹みなどの損傷が発生すると、ボールがその損傷部を通過するたびに、2~8kHzといった高い周波数帯域の「減衰衝撃振動(コンコンと叩いて響くような細かい振動)」が発生します。


従来技術において、この細かい衝撃波形を正確に捉えるためには、10kHz~20kHzの周波数帯域まで計測できる高価な振動センサーが必要とされてきました。この衝撃振動が連続して発生する「周期」は、軸受の構造と回転数から計算されるパス周波数と一致します。そのため、振動データの中からこの周期を見つけ出すことができれば、軸受の損傷箇所を特定することが可能です。

なぜ生波形のFFTだけではダメなのか?(包絡線の必要性)

「振動の生データがあるなら、そのまま周波数分析(FFT)にかければ周期がわかるのでは?」と思われがちですが、実はそれだけでは診断できません。
生波形とそのFFT分析のグラフ
上の図(右側)のように、青色の細かい高周波生波形をそのままFFT分析しても、細かい波形の塊の中に情報が埋もれてしまい、肝心の「衝撃振動群の発生周期」を見つけ出すことはできないのです。
包絡線波形とそのエンベロープFFT分析のグラフ
そこで必要になるのが「包絡線(エンベロープ)処理」です。
上の図のように、ギザギザした青い生波形の頂点を結ぶようにして、外側のカバー(包絡線:赤色の線)だけを抽出します。この赤色の包絡線波形に対してFFT分析(エンベロープFFT)を行うことで、初めて衝撃振動群の発生周期が「鋭い一本のピーク」として明確に現れ、軸受の損傷を正確に特定できるようになります。これが、従来からの精密診断の基本です。

特許技術「アンダーサンプリング」の逆転の発想

従来技術では、赤色の包絡線を綺麗に作るために「高価な高速サンプリング対応のセンサー」が必須でした。しかし、コナンエアーは特許技術「アンダーサンプリング」によってこの常識を覆しました。
通常サンプリングとアンダーサンプリングの波形比較
アンダーサンプリングとは、あえて低いサンプリング周期で振動データを取得(間引き)する技術です。
高い周波数の振動を低い周期で計測すると、本来の波形は崩れ、「エイリアスノイズ(折り返しノイズ)」と呼ばれる異なる波形として記録されます(上の図のオレンジ色の点線)。
通常、このノイズは計測エラーとして嫌われますが、コナンエアーはこれを「高周波の異常振動が発生しているサイン」として積極的に活用します。アンダーサンプリング波形のエンベロープFFT比較
エイリアスノイズを含んだ波形(オレンジ点線)は正しい波形ではありませんが、「衝撃が発生している周期」という最も重要な情報は失われません。
この間引かれた波形に対して包絡線処理を行い、エンベロープFFTをかけることで、従来の高価な機器で測定した時と全く同じように、軸受の損傷周期を特定することができます(上の図の緑色の点線ピーク)。

まとめ:軽量データで高精度な診断を低コストに実現

コナンエアーは、この逆転の発想により、データサイズを極限まで軽量化しながら、汎用の部品構成で高精度な軸受の診断を実現しています。

  • 高価な高周波センサーを使わず、安価な汎用センサーでコストを大幅に削減
  • データを間引く(軽量化する)ことで、市販電池のみで長期間のワイヤレス運用が可能
  • 生データを保存するため、ブラックボックス化せずいつでもエンジニアが波形を検証可能

「アンダーサンプリング技術」には、精密な絶対値計測ができないという原理上のデメリットも存在しますが、現場の予知保全(異常の早期発見と傾向管理)においては、この軽量化のメリットがデメリットを遥かに上回ります。
技術的限界を含めたさらに詳しい解説については、以下の特許技術解説ページをご覧ください。


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